オペラ『ルサルカ』@新国立劇場 ③

トークイベントの最後に、ノルウェー国立オペラ・バレエのオペラ芸術監督であり、この『ルサルカ』の演出家でもあるポール・カランが、オペラ初心者に向けて話していました。

「オペラの魅力は、視覚・言葉・ストーリー・声・シンプルなエネルギーなどで、一度にすべての感覚に攻撃をしかけてくること。フル編成のオーケストラの音楽と張り上げている歌声を聴くと、いやおうなしに心が動かされるので、そこに身を任せればいいと思います。オペラは極端なことを体験する場だと思ってほしいですね。愛や死、憎しみ、セックス、政治といった、多くの問いかけや疑問が沸いてくる場なんです。最初に作品を100%理解するのは無理ですが、少しでも多く理解して、感じてもらいたい。長年この仕事をしている自分でも、いまだに観るたびに毎回発見があり、新しいアイデアが浮かぶほど。新しいことを感じ、新しい感情に突き動かされるのがオペラであって、実際に音も振動となって身体に接触してくるし、それは3Dのアートを見ているようなことなんです」


111201music3_01.jpg湖のほとりの森へ戻ってしまったルサルカを追いかけてきた王子。悲恋のラヴストーリーの結末やいかに。王子役は若手で人気の高いペーター・ベルガー。

まさに、『ルサルカ』そのものを表現している言葉。『ルサルカ』は、オペラの主流と言われるイタリア語、ドイツ語、フランス語以外で書かれたチェコ・オペラであり、2009年にノルウェー国立オペラ・バレエで新制作されたばかりのプロダクションなので、そういった新感覚も親しみやすい一因なのだと思います。


111201music3_02.jpg最後にはオープニングの家が再び登場。終演後に新国立劇場のスタッフの方に、舞台装置や舞台裏を見せていただきましたが、いくつもの舞台セットをすぐに入れ替えられる劇場の奥行きの深さと最新システムに驚きました。

ステージの話に終始してしまい、音楽や衣装のことまで言及していませんが、もちろんヤロスラフ・キズリンク指揮によるオーケストラ演奏も、海外、そして国内からのすばらしいキャストが集った歌唱も圧倒的で聴き応え十分です。アートや映画などが好きなmadameFIGARO.jp読者の方なら、絶対に楽しんでいただけるオペラ『ルサルカ』なので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。このあと、12月2日(金)と6日(火)に、午後2時から、2回ほど公演があります。


オペラ『ルサルカ』の情報はこちら→http://www.atre.jp/11rusalka/

Photo:新国立劇場オペラ『ルサルカ』(2011年) 撮影:三枝近志

*To be continued

音楽&映画ジャーナリスト/編集者
これまで『フィガロジャポン』やモード誌などで取材、対談、原稿執筆、書籍の編集を担当。CD解説原稿や、選曲・番組構成、イベントや音楽プロデュースなども。また、デヴィッド・ボウイ、マドンナ、ビョーク、レディオヘッドはじめ、国内外のアーティストに多数取材。日本ポピュラー音楽学会会員。
ブログ:MUSIC DIARY 24/7
連載:Music Sketch
X:@natsumiitoh

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