スルス、サンジェルマンには珍しいガストロノミー・レストラン。

Paris 2023.02.05

サンジェルマンで食事というと、イタリア系や軽食あるいはカフェで……となることが多い。 サンジェルマン大通りとビュッシ通りを繋ぐグレゴワール・ドゥ・トゥール通りに「Source(スルス)」が昨秋オープンしたことで気付かされるのは、サンジェルマンにはそれまでガストロノミー・レストランがなかったことだ。この通りにはラーメンの「一風堂」、和食の「萬福」、和菓子のサロン・ド・テ「朋」など和の味を求めて行ったかもしれないけれど、これからは17番地のスルスへ!

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左: ブルーの外観が目印の「Source」。小さな通りの小さな店だ。 右: シェフのジュール・ルコキヨン。photos:(左)Travel Buds、(右)E. Franzo

18席のこぢんまりとしたレストランだ。シェフのJules Recoquillon(ジュール・ルコキヨン)は世界の複数の土地で経験を積んだ後、パリでは「Apicius(アピシウス)」でジャン=ピエール・ヴィガトのもとで、ホテルのフォーシーズンズのレストラン「Cinq(サンク)」ではクリスチャン・ル=スケールのもとでと星付きレストランの厨房を経由。そしてスルスへと。この経歴を知ると料理のイメージがつかみやすいのではないだろうか。スルスで味わえるのは素材の季節と出自にこだわった彼の創作料理。魚は漁師からダイレクトに、肉は2区の肉屋「Alain Tribolet」から、そして野菜類はパリ近郊……といったこだわりで選んでいる。昨今の創作料理というと、ときに数え切れないほどの素材で何を食べているのかがわからない、ときに泡でごまかされ……でも、彼が用いるのは3~4種類の素材で、そのユニークな組み合わせによって手ごたえのあるひと皿、ひと皿を生み出すのだ。シェフは和食、和の食材にも通じていて料理にもそれが感じられるものもある。

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昼は木曜しかオープンしていないが、ランチタイムは3品あるいは5品のデギュスタシオン・メニューで、ディナーは5品と7品のデギュスタシオン・メニューで味わえる。地下には素晴らしいワインセラーを持つレストランで、若い女性ソムリエのアニエス・キソーンドイヤルがセレクションを担当。昼夜コースを問わず、どの品数のメニューも料金追加でワインのペアリングが楽しめるので試してみる価値ありだ。

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ランチタイムは3品(55ユーロ)か5品(75ユーロ)のコース。ディナーは5品(75ユーロ)か7品(95ユーロ)のコース。ワインのペアリングは品数の少ない順に、プラス25ユーロ、35ユーロ、55ユーロだ。photos: E. Franzo

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冬のある日のメニューから。左: コースはアミューズで始まる。松の実のアランチャと白味魚のペーストを挟んだブリニス。 中: ぷっくりした身とマイルドな塩味のジラルドーの牡蠣と豚足のコンフィという意外な組み合わせがハーモニーをなす。 右: セロリのリゾットに味覚を添えるのは、フォアグラとハドック。photos:Mariko Omura

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左: この日の肉料理は仔牛のカツ。エストラゴン・クリームと肉汁で。 中: キウイのタルトにはヴェルヴェーヌのクリームをたっぷりと添えて。デザートの担当はアレクシ・ソルシエだ。 右: カフェに添えられているのはライチのパート・ド・フリュイと柚子のマドレーヌ。photos:Mariko Omura

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スルスはシェフのジャンと彼の中学時代の友人マルゴー・メルシエ、そして彼女がスイスで出会った飲食業に情熱を燃やすクレマン・トリコの3名によるレストランである。彼らが店のインテリアを託したのは、マルゴーの父で建築事務所「Archi Urba Deco」を創設したフランシス・メルシエ。古い建築物に特有の石の壁と天井の木の梁が印象的な店内はブルーでまとめられ、鏡がモダニティをプラス。一枚板のしっかりとしたオーク材のテーブルがモダンなアクセントとなっている。

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むき出しの石の壁と鏡の組み合わせ。素材の遊びが時代を超越する店内で、シェフの創作料理を味わう。photos:Travel Buds

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左: 試飲会なども開催される地下のワインセラー。ペアリングをセットせず、たとえばグラスで1杯という時もソムリエのアニエスのセレクションにお任せを! 右: ソムリエのアニエス、オーナーのクレマン・トリコとシェフのジュール・ルコキヨン、そしてセカンドのジュール・バザン。photos:(左)Mariko Omura、(右)Travel Buds

Source
17, rue Grégoire de Tours
75006 Paris
営)ランチ 12:00~14:00(木のみ) ディナー19:00~23:00(火~土)
休)日、月
@sourcerestaurant

editing: Mariko Omura

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