1日1組限定、豊かな自然に囲まれたグルマンの理想郷へ!【群馬県・川場村|ヴェンティノーヴェ】
Travel 2025.04.29
旅の楽しみといえば、その土地ならではのグルメ体験。地元食材を生かし、創造的な料理と丁寧なホスピタリティでゲストをもてなすオーベルジュを目的地に、グルマンな旅の計画を立てよう。
ヴェンティノーヴェ
[ 群馬県 ] 川場村
沼田ICから車で約10分。
地域食材の滋味を味わう、山の中のリストランテ。
群馬県北部、上州・武尊山の南麓に位置する川場村は、豊かな自然環境に恵まれた農山村だ。2年前にヴェンティノーヴェをオープンしたのは同村出身の竹内悠介シェフ。長く東京でイタリアンレストランを営んできたが、「いつか故郷に店を持ちたい」という夢を叶えた。22年ぶりに帰郷を果たし、食材探しを始めた竹内が驚いたのは、川場村の食材の豊かさだった。山にはキノコや山菜が豊富だし、季節によってジビエや川魚が楽しめる。周辺には少量多品種で有機・無農薬栽培を行う生産者がおり、在来品種の野菜のほか、珍しいイタリア野菜にハーブ、色とりどりのエディブルフラワーまでが手に入る。
自慢のビステッカは、骨付きのサーロインを大きな塊のまま、薪火で豪快に焼き上げる。
地域のさまざまな食材を薪火だけで調理する。
:コースで提供するパスタも、県産小麦と卵を使った自家製。ここから好みのパスタを選ぶ。
「オープン前は輸入食材を併用しようと思っていましたが、蓋を開けてみたら、99パーセント地元の食材で賄うことができました。コースでさばききれないほどの食材が出揃う夏や初秋は、"食材の渋滞"が起きるほど。地域の限られた食材でコースを仕立てる醍醐味を噛み締めています」
ビステッカコースの2品目、キクイモのヴェルタータとニンジンとパースニップのヴェルタータにハナビラタケを合わせて。
ナラ材の薪を使って豪快に焼き上げたメインのビステッカ。オリーブオイルと塩、ヤマブドウのソースでいただく。
アミューズは、シカ肉で仕立てたツナと紫カリフラワーのピクルスと、イワナの卵の塩漬けのタルト。ビステッカコースではこの他に好みのパスタ3種がつく。
デザートはサツマイモのモンブランと山のクルミと焦がしキャラメルのジェラート。
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シェフ自ら猟師とともに山に入り、キノコを探しに出かけ、と川場村のライフスタイルを満喫中。「そんな川場村の豊かな環境を長く楽しんでもらいたい」との思いから、リストランテには1日1組限定のゲストルームを用意した。満天の星に包まれて眠りにつく夜、鳥のさえずりで目覚める朝。朝と夜、異なる時間帯を慈しむオーベルジュの愉悦がここにある。
客室の窓から目の前に広がる天狗山の風景を眺める。春夏秋冬、刻々と表情を変える川場村の自然とこの景色に惚れ込み、ダイニングにも客室にも、これを借景する窓を設けた。
ベッドとシャワールームのみのシンプルな造りながら、居心地よく設えた客室。
1907年に創業した土田酒造の、観光ハーブ園だった土地をレストランに活用。
「素材へのリサーチをさらに深めていきたい」という竹内悠介シェフ(右)と舞夫妻。
ヴェンティノーヴェ
群馬県利根郡川場村谷地2593-1
全1室 1日1組限定 1室(2名)
シャワーのみ 1名¥36,000~(2食付き)
休)火~木
レストラン
営)15:00~19:00最終入店
休)水、木
要予約
https://www.29ventinove.com/
*「フィガロジャポン」2025年3月号より抜粋
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photography: Midori Yamashita text: Ryoko Kuraishi