【憧れの家作り】1930年代の古い家屋を、カラフルに個性的にリフォーム。

Interiors 2026.04.03

家を買う、建てる、建て直す――家を形作ることは暮らし方そのものを考えること。間取りも内装も自由な一方、一筋縄ではいかないからこそ愛着も増すというもの。実際に家作りをした人を参考に、自分らしいマイホームを実現しよう。2026年の新しい生活、まず「家」から始めてみませんか。


憧れの家作り case 4
NETHERLANDS ― BUSSUM
ミッシェル・イェーガー=ファント・ホフ
ピーター・イェーガー

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Michelle Jager - van't Hof(左)&Pieter Jager(右)
2020年に建築スタジオ、イーブン・イレブンを共同で設立。ブッサムを拠点に、国内外の住宅や商業施設の空間をデザインする。この家は、25年のIDAデザインアワードで住宅インテリアデザイン部門の銅賞を受賞した。
https://eveneleven.nl/

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ダイニングの一角にあるベンチにはピエール・フレイのシェニール生地「イゴール」を張り、エリティス(左)とハオミー(右)のクッションを置いた。テーブルはヴィンテージ品で、椅子はノエル・バートマンのデザイン。クッションスツールはイーブン・イレブンのオリジナル。カーテンとブラインドはグランデコのファブリックで仕立てた。

オランダのアムステルダムから数キロ離れた街、ブッサム。1930年代に建てられた家が並び、どこかレトロな雰囲気が漂う。まるで時の流れが止まってしまったようなこの場所で、幼い3人の子どもたちとの暮らしを始めたのがインテリアデザイナーのミッシェル・イェーガー=ファント・ホフと、夫の建築家ピーター・イェーガーだ。建築事務所のイーブン・イレブンを共同設立したふたりが得意とするのはグラフィックなラインや大胆かつモダンな建物とあって、やや意外な家選びにも感じられる。だが、ふたつの大戦の間に建てられたこの家を自由な発想で、楽しく暮らせる場所として変身させた。


部屋ごとに表情が変わる。

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埃っぽかった1930年代の別荘を当時の面影を残しつつ改修した。

完成までには大規模な改修が必要だった。ファサードはモダンに作り替えられたが、外観は白レンガと木材、茅葺き屋根を組み合わせたことで周囲の風景にうまく溶け込んでいる。どっしりした印象の家であるのもそのままだ。

「当時の風潮を反映してきちんと細部まで仕上げられていた家だったので助かりました。おかげで元の設計図を参照しながら空間を再構成することが可能だったのです。間仕切りをなるべく減らして、スムーズに空間移動できる家を目指しました。移動ごとに異なる雰囲気の空間にしたかったので、レイアウトにはかなり工夫を凝らしています」とピーターは語る。

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アーチの向こうにあるダイニングルームは、グリーンランドのオレンジ色のサイザル麻を壁紙として使用。オリジナルのテーブルの周りには、ミース・ファン・デル・ローエのMR10チェアを置いた。カラフルな陶器の花瓶は、ロッシュ ボボアのためにフラヴィア・マルティナゴがデザインした「フラヴィア」。照明にヘイのペーパーペンダントライトが吊るされ、壁にヴィンテージのブラケット灯を付けた。

天井高3メートルに大きなアーチを設けて空間の美しさを強調した。さらに大胆な配色や素材の組み合わせ、曲線の使用、巧みな照明計画が功を奏した。アンティーク品とアート作品が混在するリビングにはふたりの個性がよく表れている。

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リビングにはフランクリー・アムステルダムのラグを敷き、ダスティ・デコのローテーブルを。グビが復刻したアームチェア「パチャ」(右)にはデザイン・オブ・ザ・タイムのバージンウール、インテリアスDMFのソファにはエリティスの生地を使用。暖炉上にイソベル・ハーヴェイの絵画『Yellow Bird』を飾っている。

「アイデアが浮かんだら、とことん追求します。どんなに面倒なことになっても」とミッシェルは笑い、こう続けた。

「ただ、家具選びには思い切りのよさも必要ですね」

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中も外も家族団らんの場。

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ラブ・ペイントの「ストローイエロー」で塗られ、コーエン・フェルミュールの作品が掛かる中央階段は、2階にある3つの子ども部屋へと通じている。ひとつは壁をファロー&ボール「ディックスブルー」、窓枠を「ヴェーディグリス」で塗装し階段とコントラストをつけた。デダールのストライプコットンのシェード、特注の木のベンチにケリー・ウェアスラーのクッション。オーク材の床にはアンソロポロジーのラグを敷き、アムステルダムで見つけたアンティーク照明を設置。

ふたりはここを自分たちのショールームにするつもりはまったくなかった。生活の場であることは忘れてはならない。だから何かを決める時は「居心地がよく、寛げる空間になるかどうか」で判断した。

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アイランドキッチンにファロー&ボール「ブリンジャル」(ナス色)でラッカー仕上げした木材を貼り、カウンタートップにはパタゴニア・クォーツァイトを採用。ジョテックスのフルーツボウルとセラックスの陶器ボウルがアクセントに。スツールはヨハンソン・デザインのヴィンテージ、ペンダントライトはケリー・ウェアスラーのもの。

家の中心となっているのは、イタリアの天然石を使ったナス色のアイランドキッチンだ。朝食に家族全員が集まるところから一日が始まり、終日この周りで仕事をすることも。子どもたちや友人たちとリラックスして過ごすのもこのキッチンだ。

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寝室は、壁をファロー&ボール「テンプルトンピンク」で塗装し、優しい色合いでまとめた。ヴァン・ベソウのラグ、クルール・シャンブルのシーツ、メゾン・ドゥ・ヴァカンスのアースカラーのクッションとエリティスのストライプクッション、ラ・ルドゥートのブランケット。ベンチ、ヘッドボード、ボルスターはエリティスのテキスタイルでオーダーメイド。サイドテーブルはセラックスのもの。

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バスルームも寝室と同じ色で塗装。オーダーメイドの黒い木製のダブルシンクに、ウェストウィングの鏡、ホットバスの蛇口、ケリー・ウェアスラーの照明を付けた。右側のシャワースペースの壁はゼリージュタイル、左側のトイレスペースはファロー&ボール「ラディッキオ」で塗装。どちらも床はセメントタイルで仕上げた。

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子ども用バスルームもシャワースペースにゼリージュタイルを使用。セラックスのスツール、照明器具はアトリエ・アレティのもの。

2階と3階にあるベッドルームへは黄色い階段で向かう。どのベッドルームも色使いが大胆で、温かみのある場所となっている。家の周りの空間も安らぎを優先させたユニークなアイデアが満載。屋外で食事を楽しめるスペースは黒い庇の上に植物を生やした。ここにはピッツァ窯もある。

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広い庭に楽しげなキッチンスペースを設けた。焼杉を使った木造の屋根に植物が生い茂る。大きなテーブルはオーダーメイド。アディコの赤いメタルチェアが、ヴァロリアーニのピッツァ窯に貼られたゼリージュタイルと調和している。床のタイルはアンティーク。

「ここで使った大理石はイタリア産です。余った石でピッツァ窯の横にカウンターを作りました」とミッシェル。焼きたてのピッツァを味わえば、オランダにいることを忘れてしまいそうだ。ミッシェルとピーターは、オランダだけでなく世界各国からインスピレーションを得て、ふたりの独自の世界を作り上げることに成功した。

*「フィガロジャポン」2026年3月号より抜粋

photograohy: Bénédicte Drummond(Madame Figaro) text: Laurence Dougier(Madame Figaro)

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