「競技前の性行為はNG?」 アスリートのセクシュアリティに関する真実と嘘。

Lifestyle 2026.02.23

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ミラノ・コルティナオリンピックでは、選手向けに用意されていた1万個のコンドームが、わずか数日で配布終了となった。これをきっかけに、アスリートの性事情をめぐるさまざまな想像や憶測が再び注目を集めている。こうした話題について、2人の専門家が解説する。

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photography: Unsplash

ミラノ・コルティナオリンピックに出場した2800人の選手に配布された1万個のコンドームの在庫が、わずか数日でなくなった。この事実は、バレンタインデー当日に国際オリンピック委員会(IOC)の報道官マーク・アダムスが認めたものだ。このニュースは、トップアスリートの性事情にまつわるさまざまな固定観念をあらためて呼び起こしている。「試合前の性行為は控えるべきなのか?」「性的欲求を我慢したほうがパフォーマンスは高まるのか?」はたしてそれは単なる神話なのか、それとも科学的根拠のある事実なのか。いま一度、整理してみよう。


試合前に性行為はNG?

「大会前日は性行為を控えるべきだ」というのはよく聞く話だが、実際には根拠はない。そう指摘するのが、トップアスリートのパフォーマンスを社会学の視点から研究している国立スポーツ体育研究所(INSEP)のエレーヌ・ジョンシュレだ。「第一に、指導者が選手の性生活に介入するのは倫理的に問題があります」と彼女は指摘する。さらに、性行為がスポーツパフォーマンスに生理学的な影響を与えると科学的に証明するデータも存在しないという。

INSEPの産婦人科医でスポーツドクターのキャロル・メートル氏は、「アスリートが性行為をするということは、それが本人にとって心地よいものだからですし、悪影響があるとは考えにくいでしょう」と語る。「医学的に禁じられているわけではまったくありません。多少エネルギーを消費したとしても、翌日のパフォーマンスに支障が出ることはありません。そもそも、オリンピックに出場する選手の多くは30歳未満の若者なのですから」

トップアスリートの83%は、「自分の性生活が競技成績に影響を与えることはない」と考えている。これは、2016年にINSEPが、18〜30歳のアスリート341人を対象に実施した調査で明らかになった結果だ。また、53%は「大会が近づいても性生活を特に変えない」と回答している。一方で、性生活を調整すると答えた人のうち95%は、大会前や大会期間中は性行為の頻度を減らし、競技が終わった後に増やすとしていた。ただし、その理由については「あくまで個人的な選択であり、集中力を高めるため、あるいはスケジュール上の都合によるものにすぎない」と、キャロル・メートル氏は説明している。なお、オリンピックの選手村には必ずしもパートナーが同伴しているとは限らない、といった事情も影響しているという。

大会前夜に性行為をするかどうかは、あくまで個人の好みや習慣の問題だと、エレーヌ・ジョンシュレはあらためて強調する。「人それぞれのルーティンの問題で、性行為がパフォーマンスに影響すると感じるかどうかは、選手本人の考え方次第です」と彼女は語る。性行為によってリラックスできると感じる人もいれば、エネルギーを大きく消耗するのではないかと心配する人もいる。つまり、感じ方は人それぞれだということだ。

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性的フラストレーション=パフォーマンス向上?

「性的欲求を我慢すると競技パフォーマンスが上がる」という考え方はよく聞かれるが、それは完全な誤解だと、キャロル・メートルは指摘する。「それはまったくの間違いです。むしろフラストレーションは集中力を下げてしまい、競技においては好ましくありません」と語る。競技で高いパフォーマンスを発揮するために必要なのは、日々の継続的なトレーニングや技術の向上に加え、身体的・心理的な能力だ。たとえば、冷静に状況を判断する力や、試合のプレッシャーをうまくコントロールする力が挙げられる。フラストレーションから生まれる一時的な衝動が、パフォーマンスを高めるわけではないという。

とりわけ、競技パフォーマンスを支える要素のひとつに個人としての充実感があることを考えれば、なおさらだ。それはモチベーションや競技へのコミットメントを高める力になる。「セクシュアリティは、心や生活の充実に関わる大切な要素です」と、スポーツドクターはあらためて強調する。フラストレーションは、そのような前向きな要素にはなり得ないという。

From madameFIGARO.fr

text: Lena Couffin (madame.lefigaro.fr) translation: Hanae Yamaguchi

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