【フィガロジャポン35周年企画】 旅もファッションも好きだけど、世界はアートに夢中! 2008年のフィガロジャポン。
Culture 2026.02.04
パリ生まれ東京育ちのスタイル誌『フィガロジャポン』は、2025年3月で創刊35周年。パリやパリに生きる人々の哲学から旅、ファッション、食、映画、そしてアートまでフィガロジャポンが発信してきた35年の歴史を編集長の森田聖美が当時の思い出に浸りながら、思い入れたっぷりに振り返ります。2008年に発売したすべての号をプレイバック!
2008年2月5日号(08年1月20日発売)357
年末進行の波に負けなかったからできた号。

前年末、このトレンド予測テーマを担当するは編集者としては実は苦行に近い。ある程度構成はルーティンなものの、最も大切なネタ集めに毎回悩み、苦しむ。そしてページが細かく、文字数が非常に多い。別冊付録がふたつ付いていて、靴バッグ別冊は500以上の掲載を諦め、厳選し368に。コレクションブック別冊も紙が厚く充実している。野菜のおいしいレストランが女性に人気なのは、肉食女子なる集団が生まれる前夜のこと。でも、「彩」映えでは野菜の勝利か......?
2008年2月20日号(08年2月5日発売)358
パニエにホウロウ鍋、カフェオレボウルはいかが。

パリの生活雑貨はロマンティックだ。たとえ掃除道具であっても! アンティーク店が現在もたくさんあって、温もりあるアイテムを現代人も使っている。それがパリ。蚤の市に出かけ、飾るだけで可愛い型をオーナーと交渉して買ったり。そんなパリ雑貨散策の愉しみが詰まった号だ。綴じ込み付録のタイトルには動揺した......「ヘアスタイルは女の生き方。」! 筆者は、ずっと同じ髪型。つまり、生活がマンネリなのか???
2008年3月5日号(08年2月20日発売)359
色を制する者が、おしゃれを制す。

2026年春夏は「色」が主役でもある。そう考えながら今号を読むとなんだか新鮮。2008年もページをめくるとビビッドカラーがあふれている。色を上手に取り入れてコーディネートを成立させるのは、日本人には難しいテクニックかもしれない。が、ビビッドカラーが流行ったシーズンには、ちゃんと冒険してほしい。違う自分と出会えるから。おそらく、この号もそんな気持ちで作られたはずだ。インテリアのテーマもビビッドカラー攻め。ビューティは、色彩を受け止めるべくマットな質感の肌つくり。
2008年3月20日号(08年3月5日発売)360
おしゃれ30代、2008年のライフスタイルはいかに?

パリでは若手デザイナーは活躍できないとNYに移住した。遠距離恋愛だからこそ週末だけ会えるボーイフレンドとの時間が愛しい。週末は必ずヨガ。勝負服は赤いヴァレンティノのドレス。30代の女性たちの本音と実状が見える企画はおもしろい。ボーイフレンドアイテムがトレンドになったシーズンでもあり、おしゃれトピックがいっぱいの号。カルチャーテーマでは、作家、画家、芸術家、そして、掃除夫のヘンリー・ダーガーにフォーカス。当時、モードエディターはみんな『非現実の王国へ』を買っていたのでは?
2008年4月5日号(08年3月20日発売)361
「秘密」という響きが雑誌っぽい。

パリジャン&パリジェンヌが教えてくれた内緒のアドレスがいっぱい。スタイリストのマリナ・ムニョス、デザイナーのゴルチエやブルーノン・フリゾーニ、ヴィクトワール・ドゥ・カステラーヌ、オペラ座エトワールのマチュー・ガニオ......贅沢なラインナップ。当時の大統領サルコジと結婚したカーラ・ブルーニのインタビューや、パリの街に続々登場するビオコスメブティック、最新おしゃれブティックとプチホテルなどの綴じ込み付録など全体的にフランスしばりの号だったが、別冊付録でアンファンも。パリという巻頭特集が決まると、「右にならえ!」で1冊まるごと巻頭特集のニュアンスを帯びたムック本のように作られた号だ。
2008年4月20日号(08年4月5日発売)362
電波用語が好きなのか?

おしゃれスナップ衛星中継。今号の巻頭のタイトルも、なんだか電波用語。デジタルではなく電波だったところがミソだ。リアルクローズ別冊ではラケル・ジマーマンを撮影。考えてみると、スーパーモデルはギャラが高くても、スタジオ代は安く上がる可能性大。なぜなら、ポージングがすぐに決まるから。背が高い、四肢が長い、顔立ちがきれい、なだけではない。スーパーモデルは、佇まいに世界観があるのだ。綴じ込み付録で谷中、千駄木、神楽坂特集。筆者が実家を出たのも2008年で、谷根千エリアを住処に選んだ。もしかしてこの特集のせいもあったのか??
2008年5月5日号(08年4月20日発売)363
ニュアンスのあるモード撮影。

いま言うところのWanna Be系のファッション撮影にトライした巻頭特集。ジェーン・バーキン スタイルを提案したり、ブリジッド・バルドーやアンナ・カリーナも。小気味いいフレンチファッションアイコンはフィガロジャポンが大好きなスタイルでもある。菊地愛氏が担当した、ボッテガ・ヴェネタのマカオ撮影がとてつもなく美しかった。当時、よくタッグを組んでいた阪急ビューティブック別冊も同梱。お見分け会がいまでも懐かしく感じる。
2008年5月20日号(08年4月5日発売)362
フランス映画、それは愛の言葉。

「ひとりの男とふたりの女、交錯する愛は永遠のテーマ。」「フランス映画の醍醐味は、パリの景色と大人の会話。」いいキャッチに導かれ、作中の台詞を引用しながら紹介していく。第2特集ではフレンチポップス名盤集。ここでも、名リリックを紹介しているのだが、なぜ、「ゴリラにはご用心」という歌詞が? 「飲んで幸せ、自然派ワインのすすめ。」では、認定の方法まで細かく紹介していて役立つ。
2008年6月5日号(08年5月20日発売)365
古民家ブームよりも先に。

女の視点連載ではずっと扱ってきたような「和」のテーマだが、巻頭特集で彩鮮やかに扱うとまた別のメッセージ発信になりそう。おしゃれなクリエイターやバイヤーたちが集めてきた日本の風情あるうつわや暮らし方。真似したくなる。浴衣以上きもの未満の夏の装いは表紙にも起用され、竺仙にエルメスのかんざしを充てる原由美子氏のスタイリングはやぱりモダンだ。おもしろかったのは、フランスの俳優・監督のジュリー・デルピーと写真家若木信吾氏のフォトセッション&対談。この企画が成立したのは、もしや......。
2008年6月20日号(08年6月5日発売)366
インドは、呼ばれていく場所。

「インドって、旅するきっかけは偶然に呼ばれるものなんだよね」。と友人から言われたことがある。そうかもしれない、筆者はインドに呼ばれない......。でも、この原稿を書くために今号のページをめくっているいま、呼ばれた気がした。実は2008年当時、筆者は同社内で別の男性誌に異動していた。だから、この号をじっくり作りながら見ることはなかった。ページをめくるたびに登場する、鮮やかな色彩と精緻な細工。同時期に発表された、カルティエのインド着想のラインや、エルメスのモンスーンの庭の香り。ああ、本当に訪れてみたい、と心から思った。おそらくあと3年以内くらいに、この地に行くことになるのだろうな。
2008年7月5日号(08年6月20日発売)367
巡る巡るトレンドよ。

構築的シルエットとか、ボーホースタイルとか。ゴシックロマンスとか、80年代風とか。シーズントレンドもずいぶんクリアだったな、と思う。2020年代の現在と比べると、なんてったって細身だ。この年の7月、フィガロジャポンが長きにわたり紹介してきたラデュレが、とうとう日本上陸! 現在そのサロンはもう移転したが、銀座三越2階に多くの人々がときめきを買いに訪れていた。第2特集の綴じ込みでは、おしゃれな集合住宅を建築家含めて紹介。少々、隣の男性誌Penの影響を受けたようだ。
2008年7月20日号(08年7月5日発売)368
まだ行けていないプロヴァンスの町々。

何度も南フランスに行っているのに、ニースやカンヌは知っていても、この号に紹介されているプロヴァンスの町はまだ一度も訪れていない。タイトルの「しあわせの夏」とあるように、プロヴァンス地方は空気が澄んでいて軽やかで、それだけで肺まで元気になりそうだ。ごはんは美味しく、手仕事の雑貨はロマンティックで、先日訪れた時にはテーブルクロスを買ってしまった。フランスでは民宿をシャンブルドットと呼ぶが、ここでも夫婦や家族で営むシャンブルドットをたくさん紹介。ホテルに泊まるよりも南仏の生活を体験できるかもしれない。
2008年8月5日号(08年7月20日発売)369
レディもフィガロファッションの合言葉。

何度か起用している、レディモードのおしゃれ。白い肌にアイラインをしっかりと、ビジューはホワイトストーンで。黒を上品に纏う。そんなコードが、この季節のトレンドをつくっていた。そして2008年6月1日、ムッシュ イヴ・サンローランが逝去。巻頭モードストーリーより前の面付で、追悼の記事は掲載された。こういうことこそ、媒体のアティチュードだと思う。カルチャーテーマでは、ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノによるオムニバス映画『TOKYO !』のレポート。筆者はポン・ジュノの撮影現場を訪れ、「アクション!」の声の大きさに驚いた。カラックスの現場にも行き、外でひとりで箱弁を食べているカラックスの姿を見て切なくなった感慨を憶えている。あ、シューズ&バッグ別冊、前回は300アイテムくらいの紹介だったのに、555に戻っている......。
2008年8月20日号(08年8月5日発売)370
コットンレース、煮込み料理、ワイン!

民俗衣装が本当に愛らしくて、クロアチアにはまだこんなに素朴な風景と人々がいるのだろうか、と驚いた。レストランの料理も郷土の煮込み料理。おいしそう。肉も多いが、海際の街がにぎわっているので魚のメニューも。堅牢な石造りの家々の中にレースいっぱいの家具。とても温かい。音楽記事は50周年を迎えたボサノヴァ特集。ジョアン・ジルベルトとアントニオ・カルロス・ジョビンの王道を改めて紹介。
2008年9月5日号(08年8月20日発売)371
情報通になりたいの。

今号もモード満載。流行なのにベーシック、って逆説的に語っているだけで、ベーシックなアイテムやスタイルが流行っている、ということだ。でも、そんなちょっとした違和感が「え、なになに?」と書店で読者の関心を引くのかも、ふむふむ、と思ってしまったのであった。「業界通になれるスクープ満載 モード界を騒がせる、ウワサの真相」特集はものいいのうまさが際立ち、中身は極めて上品。「おしゃれプロ50人のこの秋買ったモノ」は今度マネしちゃお、と思うくらい参考になる。リアルスタイル別冊ではココ・ロシャをキャスティングしていた。東京にたくさんの個性あるビューティスポットが登場し、エリア別に紹介している。リッチ層があふれた六本木にはクリニックが多くて、世相を反映しているなあ。
2008年9月20日号(08年9月5日発売)372
アートは世界のトレンドセッターの関心事。

この頃から、いやもっと前から、アートは世界のトレンドを生み出すクリエイターたちの関心事だった。表紙はポール・スミス氏だが、アートへの造詣の深さ、店舗ひとつとってもデザインにあふれた空間の発信でめちゃくちゃ素敵。塚本編集長もポール・スミス氏が大好きだったし、筆者もこの号が担当できなくて悲しかった。エディ・スリマンが撮影したユース世代のモノクロポートレートも掲載し、カルチャー好きの保存版である。北野武監督と樋口可南子氏の対談まで掲載しているのだから!
2008年10月5日号(08年9月20日発売)373
久しぶりのロンドン全マップ。

90年代後半から2000年代前半は、パリ・ミラノ・ロンドン・NYをぐるぐると巡るように特集を組んでいた。じっくりロンドンのガイドを作るのは久しぶり。冒頭はアンティークマーケットにフォーカスしていて、レースやフラワープリントなどがたくさんあるのは、ロマンティックレディ、塚本香編集長の偏愛かもしれない。昔はロンドンに高レベルのグルメなし、と言われていたが綴じ込み付録で最新レストランをたくさん紹介するほどのグルメシティに進化していた。綴じ込み付録はもうひとつあり、ロンドン近郊田舎町にフォーカス。ライの町は本当に可愛らしく、紹介されているショップのアクセサリーとか、いまでもほしい。ブライトンやアルンデルも綺麗で写真1枚1枚が映画のワンシーンのようだ。
2008年10月20日号(08年10月5日発売)374
働くママ、応援。

以前も書いたが、この頃からフィガロジャポン編集部にも働くママが増えてきた?のかな。もしくはやはり子育てが世の中の大きな関心事になり、日本だけでなくパリではどんなふうにおしゃれにお育てしているの?ということを知りたい人も。実際、ヨーロッパのお宅拝見テーマをやると必ず子供部屋も紹介していて、色やデザインの素晴らしさは、子どもの脳や心にいい刺激を与えるのではないかしら、と写真をセレクトしながら考えたものだ。パリには子ども用のユニークなアドレスが急増している時期でもあった。綴じ込み付録では、101人の口コミで紹介する日本の温泉宿。この特集は、筆者もさんざん活用させてもらいました!
2008年11月5日号(08年10月20日発売)375
デザイナーが表紙になる。

フランス発信の媒体だが、表紙を飾ったデザイナーはおそらく英米人だけ。今号は、アナ・スイが登場。当時のアナ・スイブームはすさまじかった。そしてそんな人気デザイナーが自宅を公開してくれた。他にもフィリップ・リムやマシュー・ウィリアムソン、クレア・ワイト・ケラーなどが登場。デザインタイドTOKYOが盛り上がっている頃で、フィガロジャポンもそのムーブメントに乗った。女性ヴォーカリスト9人へのインタビュー記事では、いまや一世風靡した大物になっているアデルがまだ小さい扱い。時代は変わるのだ。
2008年11月20日号(08年11月5日発売)376
ほら、行進し始めましたよ!

電波系のタイトルにはそろそろ決着をつけて、おしゃれスナップは行進を始めた。今号のスナップ特集はとってもストレートな構成だった。フォーカス人材をきちんと紹介し、日ごとに追う。誌面を作っていてカーブやスライダーばかり投げていると、無性にストレートで勝負したくなるもんだ。それはデザイン雑貨紹介の第2特集も同様で、素敵なオブジェをしっかり撮影している。ヴィカ・ミトリチェンカやコミッティのもの、欲しかったな、当時。
2008年12月5日号(08年11月20日発売)377
ハワイは年末、の法則。

年始の芸能人ハワイ詣でのせいか、フィガロジャポンのハワイ特集はほとんどが年末近辺に行われる。4島網羅、オアフ島のショッピングマップまでついているが、ハワイのカルチャーを感じさせる内容を目指している気配。ベストコスメは30代の美容エキスパート限定で投票。ベストはクロエのフレグランスだった。ベースメイクはアルビオンエクサージュのサマーシフォン。スキンケアはアユーラのビカッサ付きのセラム。みんなの肌には白系パールがきらきらしている時期だった。
2008年12月20日号(08年12月5日発売)378
237冊の今年を感じる書物たち。

ベストに選ばれた書籍は、リチャード・パワーズ著『われらが歌う時』。そしてティム・ウォーカーの写真集も選ばれていた。そう、当時、我々はティム・ウォーカーの演出に夢中。生み出されるロマンティックでユーモラスな世界にヤラれていた。お正月を見越して、30代女性のための正当なきもの選び、というテーマも敢行。紋が色彩が語りかけてくる原由美子氏のセレクションは心が躍る。年末年始に、ドレスだろうが、きものだろうが、おしゃれしたいじゃないですか。そして、今号ただ1回だけ決行された、お笑い特集。チュートリアルはもちろん、ピースも登場。
2009年1月5・20日号(08年12月20日発売)379
お正月休みは、読める旅ガイド。

行かなくても楽しいパリ案内、って素敵だ。アンティークブティックとカフェ。確かにパリにはたくさんある風景。レースも銀器も絵皿も、コスチュームジュエリーも、パリのブティックで見ると本当に欲しくなってしまうのだ。オークションにも旅人も参加できる。ドゥルオーで競り落としたら、一生の思い出になるはず。カフェ部門では、ギャルソンの仕事を紹介。有名カフェのギャルソンはフランスの誇り高い職業だ。年末年始はDVD、という配信時代のいまでは考えられない企画が掲載されている。でも、うれしいのは人気ドラマ6作が入ったDVDが付録でアタッチされていること! また、ビュリーの創業者として名高いヴィクトワール&ラムダンのモロッコ・タンジェ暮らしのルポ取材も。このカップルの感性は人々を惹きつけて止まない。
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