【編み物の世界へようこそ】三國万里子が語る、幸せな編む日々のこと。

Lifestyle 2026.02.20

身近な創作活動のひとつ、編み物。パンデミックでお家時間ができたことも後押しとなり、編み物ラバーが増えている。注目のニッターや気になる毛糸情報まで、アールドゥヴィーヴル(暮らしの美学)を彩る編み物の世界をリサーチ。

01. 三國万里子が語る、幸せな編む日々のこと。
02. 世界のニッター最前線、注目のクリエイターを紹介。
03. 初級から上級まで、編み物の始め方と続け方。

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Mariko Mikuni
1971年、新潟県生まれ。ニットデザイナーとして多くの編み物本を上梓するほか、ほぼ日で編みものキット等を紹介する「Miknits」も展開。エッセイ集『編めば編むほどわたしはわたしになっていった』(新潮文庫)も話題。@marikomikuni

セーターに帽子、編みぐるみなど、ニットデザイナーとしてこれまでさまざまな作品を発信してきた三國万里子。編み物が身近にある環境で育ち、3歳で編み物を始めてからかれこれ50年。可愛い・美しいだけに留まらない、愛嬌があって時折クスッと笑ってしまうユーモラスなデザインが人を惹きつけ、ニッターたちの憧れの存在となっている。

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10歳の頃にプレゼントされた編み棒と、Miknits(@marikomikuni_hobonichi)オリジナルの毛糸。

「編み物って、表現の媒体として懐が深いと思うんです」と三國。「糸の選び方や組み合わせもさまざま。こんなこともやってみたいというワクワクがずっと続いているから、仕事になったいまも飽きることがない」と語る。インスピレーション源はアートだったり、旅先で出合った土地の文化だったり。ジュエリーやアートオブジェで知られるフランスの女性アーティスト、リーン・ヴォートランや、近年では更紗模様を探究するなど、編み物の枠を超えて別ジャンルの工芸にも刺激を受けている。

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趣味は人形遊び。ビスクドールに服を作るのは、部屋に花を生けるような一種の気分転換になるという。

作り手の好みや個性をひとつのものに落とし込み、それを纏ったり長く愛用したり......制作プロセスから完成後まで編み物には随所に魅力が潜んでいるが、「なんだか難しそう」と躊躇している人もいるかもしれない。そんな人たちへのメッセージとして、三國は「とりあえずやってみて!」と後押しする。

「かぎ針編みから始めて糸に慣れるのもいいし、棒編みなら作り目、表目、裏目、この3つの基本を覚えればいろいろ編めるものがあります。一本の糸が平面になり、それが立体となった時の達成感がたまらなくて......」

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三國が手描きした「元原稿」。どのように作品が編まれたのかが丁寧に記録されている。

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昔の中国の子ども服の本やリーン・ヴォートランの作品&デザイン集は、三國のインスピレーション源の一部。

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それを三國は「晴れがましいうれしさ!」と表現する。ひと目ずつ編むことでしか前に進まない編み物に近道はなく、利便性を重視した"タイパ"やAIの現代と逆行しているかもしれない。だが「時間をかけて編むことは、旅に似ているかも。疲れたから今日はここまでだけど、明日はこんな局面が待っているかも! と思うと、明日が来るのが楽しみで。編むというプロジェクトが生活の中にあることは未来を考えることに繋がるんです」と教えてくれた。

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スウェーデンを旅して生まれた過去作品のmizudori(左)とtsukinowa(右)はオリジナルの糸から開発。

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イギリスのティーコージーに刺激を受け生まれた過去作品、黒猫のティーコージー。保温効果もばっちり。

デジタルでは得られない喜びや癒やしを感じたり、自分の手から生まれたものに囲まれ、それを慈しむ満足感。さらに、その喜びを一緒にわかち合う人たちがいればより楽しい。編み物、そして編むという行為には、心身をともに満たしてくれる幸せのエッセンスが詰まっているのかもしれない。

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刺繍があしらわれたカラフルなミトン(Tallinn、¥7,920)を着用して編み物をする三國。「ちょっとふざけてみたくて」とお茶目な一面を覗かせた。

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ノルディックカーディガンalp。上からsunny、forest 各¥18,700。下は過去作品のアランカーディガン。

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Miknitsで販売するキット。日本の伝統柄、千鳥文に着想を得たカシミアの帽子は左からdawn、dusk 各¥11,000。付け襟corridorブラック ¥6,050。グレーは終売。

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雨上がりの神保町の夕暮れ時を表現したというミトンtokyo ¥6,930

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ファーヤーンを棒針で編んで作るkittens3種。左から、シロちゃん、タビちゃん、ペルシャさん 各¥2,970

●アイテム購入はこちら>> Miknits

*「フィガロジャポン」2026年3月号より抜粋

photography: Norio Kidera

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